日本― 2016年 春

2016年日本訪問: いつくしみという勇気を心に呼び起こす

数か月前に、テゼのブラザーの一人が長期にわたってアジアを旅行し、数か国を訪れました。その報告のなかでブラザーは、日本での滞在(4月)について以下のように述べています。

日本では、最初に道生を訪ねました(※千葉道生さんのこと)。(2011年に東北で)津波があった時に、ちょうど長期ボランティアとしてテゼに滞在中だった若者です。帰国して以来、彼は津波により影響を受けた地域のひとつで活動するカリタスのボランティア・ベースの責任者をしています。地震が起きたのは5年前――いま地域ではボランティアが足りず、忘却のリスクにさらされています。

しかし、そこでは何年も支援活動が続いています。わたしは日曜日に、仮設住宅で孤独になりやすい年配の人々とともに丸一日を過ごしました。家を建てなおすことができた方もいますが、また津波の被害にあう可能性を避けるため、同じ場所に建てることはできません。 道路や橋、山を切り崩して地面をかさ上げするなど、至るところで作業がなされています。
仮設住宅では、プランターに花を植え替え、これは子どもたちと年配の人々を結びつける小さなしるしとなりました。 同時に、一緒に行う創造的な活動でもありました。市場に花を買いに行き、仮設住宅に届け、人々とともに過ごすという素敵な時間でした。

次に、わたしは福島の良泉(※土谷牧師のこと)を訪ねました。日本キリスト教団の牧師です。まだテゼのブラザーたちが日本に住んでいた頃(約30年前)、彼もまたテゼのパーマネント(長期ボランティアの青年)でした。彼はこの福島で、とても田舎で山あいにある小さな教会に配属され、また保育園の園長もしています。日本では出生率が著しく低下しており、一部の保育園は閉園しつつありますが、良泉の保育園は、100名の子どもたちのホームとなっています。原子力発電所から80キロの地域にあるため、学校には放射線測定器があります。村では、放射線量の高い土が入った土嚢が至る所に積まれているのを見かけますが、どうするのかわたしたちは分かりません。

このような状況にあって、ブラザー・アロイスが「テゼからの提言 2016年」の冒頭の最後に投げかけている、次の問いが差し迫ってくるのです。「わたしたちは、どのようにしていつくしみ、憐れみ、忍耐強く連帯するという勇気を心のうちに呼び起こすことができるでしょうか。」

祈るということは、確実にひとつの応答です。米川についていえば、道生はボランティア活動に向かう前に、希望する人々とともに、毎朝欠かすことなく祈りを捧げています。また他にも、例えば東京の四ツ谷では、幼きイエス会のシスター方の修道院で行われた祈りに青年たちを含めた大勢の人々が来られました。また、定期的な集いをリードする人々とともに一日黙想会も東京で行われました。

滞在中に、2011年と同じくらい大きな地震が熊本で起こりました。わたしが行くところだった地です。今回も、連帯の輪が全国各地から生まれ、急速に広まっています。そして、わたしは再び思ったのでした。このような大災害を前ではどのような支援もあまりに無力に思えてしまうなかで、わたしはこの支援の連帯をどのように支えていくことができるだろうか、と。長崎で、上智大学(東京)で、また横浜の高校生たちとも祈りが行われました。これらの祈りによって、わたしたちは熊本の被災者やそのご家族を、神のいつくしみに委ねて祈ることができました。

もう一つの応答は、このことに向けて、ともに黙想する時間を取るということです。池袋の小さな聖公会(東京)で、ヨーロッパ大会やアジア大会に参加したことがある青年たちが集ったことは、目に見える確かな道でした。最後に、神の言葉に耳を傾けることは、思いもよらないエネルギーを解放します。

関西学院大学の学生たちとのリトリートの日に、テゼで「和解の教会」に置かれている「いつくしみのイコン」にちなんで善きサマリア人のたとえの朗読箇所が読まれました。このイコンには、このたとえ話を伝える6つの場面が円形で描かれています。6つのグループに分かれて、各グループがそれぞれの場面について、新たに思い巡らせました。それから、各グループがそれぞれ考えたことをパントマイムで分かち合いました。これらのマイムは、参加した全員にとって、毎日の生活の状況への新しい見方を開くものでした。これらは、わたしたちの強さや恐れを明らかにしました。しかし、何にもまして、一人ひとりが善きサマリア人になることが可能なのだということを示したと思います。

東京では、ワールドユースデーへの旅を準備する事務局が、2016年の提言にとても関心を持ってくださり、クラコフへ向かう日本人の青年たちの心の準備に用いたいとのことです。

Printed from: http://www.taize.fr/ja_article20668.html - 23 January 2021
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